Enso（ENSO）とは

詳細解説

1. 目的と価値提案

Ensoは、分散したブロックチェーン環境の断片化問題を解決し、統一された実行レイヤーを提供します。開発者は「何をしたいか」（例：「USDCをブリッジしてwstETHにスワップする」）を記述するだけで、Ensoのネットワークが「どうやって実現するか」を自動的に処理します。これにより、複雑な統合作業に数ヶ月を費やす必要がなくなり、開発チームは製品の革新に集中できます。

2. 技術とアーキテクチャ

EnsoはCosmos SDKを用いたTendermintベースのLayer 1ブロックチェーンとして構築され、以下の3つの分散型役割で運営されています。
- Graphers：ユーザーのリクエストに対して最適な実行経路を設計する競争者
- Action Providers：スワップやミントなどの再利用可能なモジュールを提供
- Validators：ネットワークの安全性を守り、トランザクションの正当性を検証

2024年以降、10以上のチェーンで170億ドル以上の決済を処理し、Katana（クロスチェーンスワップ）やUSD1ステーブルコイン（マルチチェーン流動性）などのプロジェクトに利用されています。詳しくはこちらをご覧ください。

3. エコシステムの基本

Ensoの「shortcuts」APIは以下のような機能を提供します。
- クロスチェーンの利回り戦略（8つのチェーンにまたがる自動複利運用）
- ボラティリティ対策（資産の自動リバランス）
- 機関投資家向けツール（KodiakFiのようなプラットフォーム向けにCEXとDeFi間の橋渡し）

結論

EnsoはWeb3のTCP/IPのような存在を目指しており、ブロックチェーン間の摩擦のない通信を可能にする基盤レイヤーです。既に数十億ドル規模の取引を支える実績がありますが、今後モジュラーブロックチェーンが増える中で、標準的な調整レイヤーとして定着できるかが最大の課題となります。