詳細解説
1. 機関投資家向けRWA統合(強気材料)
概要: Raylsの親会社であるParfinは、2025年11月にTetherに買収され、ラテンアメリカ全域でのコンプライアントなステーブルコインおよびトークン化資産のインフラ拡大を目指しています。現在は6,000万ドル以上の貿易金融資産を処理しており、ブラジルではCBDC(中央銀行デジタル通貨)のパイロットも進行中です。
意味するところ: Privacy Nodesを通じて銀行が参加すれば、取引手数料として直接$RLSの需要が生まれます。例えば月間100万ドルの手数料があれば、現在の価格(1トークンあたり0.0291ドルの50%)で約1,720万RLSがバーンされます。ただし、企業向けの販売は時間がかかるため、採用の遅れがデフレ効果を弱める可能性があります。
2. デフレ型トークノミクス(影響は混在)
概要: Raylsはパブリックチェーンとプライベートチェーンの両方で発生する手数料の50%をバーンしています。これまでに8,730万RLSがバーンされており(Rayls Dashboard参照)、このモデルは取引量の増加に依存しています。
意味するところ: 現在の月間10万ドルの手数料収入では、年間約2億600万RLS(流通供給量の約2.06%)がバーンされます。年間10%のデフレを達成するには、取引量を5倍に増やす必要があります。これはTetherとの連携が実現すれば可能ですが、暗号市場の「極度の恐怖」感情(CoinMarketCapのFear & Greed Indexは16)を考えるとリスクも伴います。
3. 規制対応の立ち位置(強気材料)
概要: Raylsは開発者に対してKYC(本人確認)を義務付け、監査対応可能なプライバシー機能を提供しています。これにより、2025年施行予定の米国GENIUS法やEUのMiCA規制といった機関投資家向けの法規制に適合しています。
意味するところ: コンプライアンスを重視することで規制リスクを軽減できますが、一方でDeFi本来の自由度や匿名性を求める層からの支持は限定的になる可能性があります。評価は二極化し、伝統的金融の投資家(例えばBlackRockのBUIDLファンドのような)からは高く評価される一方、分散型を重視するユーザーからは敬遠されるかもしれません。
結論
Raylsの価格動向は、伝統的金融の実際の採用状況に大きく左右されるでしょう。特に2026年第1四半期のラテンアメリカCBDCパートナーシップや手数料バーンの実績に注目が集まります。コンプライアンスの強みを活かして取引量を持続的に増やし、流通供給量(15億RLS)を上回る需要を生み出せるかが鍵となります。