詳細分析
1. TGE後の利益確定売り(弱気要因)
概要: IRのTGEは12月17日にBinance AlphaでのIDOとKuCoinでの上場(UTC12:00)で行われ、価格は0.10ドルから0.30ドルの間で形成されました。初期に低価格で購入した投資家が上場後に売却し、価格は0.192ドルまで下落しました。
意味: トークンの新規発行時は、早期投資家の売りが価格変動を引き起こすことが一般的です。IRの24時間取引量は9820万ドルに急増し(TGE前と比べて250万%増)、強い売り圧力が確認されました。過去の例(例:Magma FinanceのTGE後45%調整)と同様の動きといえます。
注目点: 取引量が5000万ドル以上で安定すれば価格の落ち着きを示し、0.15ドルを下回るとさらなる下落リスクが高まります。
2. エアドロップによる供給増加(弱気要因)
概要: IRの総供給量の20.5%にあたる2億500万トークンが発行時に市場に流通し、初期ユーザーへのエアドロップ分も含まれています。エアドロップの受け取り申請は12月15日に締め切られ、受取者はTGE当日にトークンを受け取りました。
意味: エアドロップ受取者は利益確定のために即座に売却する傾向があり、特に市場が弱気の時は売り圧力が強まります。IRの価格が大幅に下落し、Berachainエコシステム自体もまだ発展途上であるため、保有者がステーキングや長期保有の動機を持ちにくく、売り圧力が増大しています。
3. 暗号資産市場全体のリスク回避(影響は混在)
概要: IRの価格下落は、暗号資産市場全体の2%の下落とCoinMarketCapのFear & Greed Indexが22という極度の恐怖感と同時に起こりました。ビットコインの市場支配率は59.12%に上昇し、安全資産への資金移動が進んでいます。
意味: IRのような新規かつ投機的なトークンは、リスク回避局面で特に大きな影響を受けやすいです。ただし、IRの下落率は市場全体を大きく上回っており、独自の売り圧力が存在すると考えられます。
結論
IRの急落は、TGE後の利益確定売り、エアドロップによる供給増加、そして暗号資産市場全体のリスク回避が重なった結果です。新規トークンに見られる典型的な動きではありますが、現時点でステーキングやプロトコルの活用が進んでいないため、短期的なリスクは依然として高いと言えます。
注目ポイント: IRがIDO価格帯(0.10ドル~0.30ドル)を維持できるか、今後のTGE段階で解放されるトークン供給がさらなる下落を招くかを注視してください。取引所へのトークン流入量やステーキング参加状況をチェックし、保有者の意欲を見極めることが重要です。