詳細解説
1. Glamsterdamアップグレード(2026年中旬〜後半)
概要: Glamsterdamは2026年後半に予定されている大規模なハードフォークです。主な目的は、並列トランザクション実行とEIP-7732によるProposer-Builder Separation(ePBS)を導入し、Ethereumのベースレイヤー(レイヤー1)のスケーリングを図ることです。これにより複数のトランザクションを同時に処理でき、処理能力が大幅に向上します。また、ブロック単位のアクセスリスト(EIP-7928)やガスリミットのさらなる引き上げ(2025年に6000万に倍増済み)も検討されています(Decrypt参照)。
意味するところ: 並列実行の導入はレイヤー1の処理能力を大幅に高め、ネットワークの混雑緩和やメインネット上で直接決済するアプリケーションのユーザー体験向上につながるため、Ethereumにとって非常にポジティブです。ただし、複雑なアップグレードであるため、遅延や実装上の問題が発生すると一時的にネットワークのパフォーマンスや市場の評価に影響を与える可能性があります。
2. Hegotáアップグレード(2026年後半)
概要: Glamsterdamの後に予定されているHegotáは、Ethereumの「Verge」フェーズを進展させることを目的としています。主な目標はVerkleツリー(または統一されたバイナリツリー設計の後継技術)の採用によるステートレスクライアントの実現です。これにより、ノードはネットワーク全体の状態を保存せずにブロックの検証が可能となり、ハードウェア要件が大幅に軽減され、分散化が促進されます。また、検閲耐性を強化するためにFork-choice Enforced Inclusion Lists(FOCIL、EIP-7805)も導入予定です(Decrypt参照)。
意味するところ: ステートレスクライアントの導入はノード運用の敷居を下げ、ネットワークのセキュリティと耐障害性を高めるため、Ethereumにとって非常に良いニュースです。検閲耐性の強化も、Ethereumがグローバルな決済基盤として中立性を保つ上で重要です。ただし、技術的に高度な内容であるため、開発やテストに時間がかかるリスクがあります。
3. 量子安全性とプライバシー重視(2026〜2029年)
概要: 2026年8月にVitalik Buterinが示した「Strawmap」では、今後3年間の最重要課題としてポスト量子暗号の安全性とネイティブなプライバシー機能の強化が掲げられています(CoinMarketCap参照)。具体的には、量子耐性のある署名方式(LeanSPHINCSなど)の研究・導入や、鍵付きノンスやプライバシープールといったプライバシー機能をプロトコルに組み込むことが計画されています。また、ゼロ知識証明の検証をベースレイヤーで行う「ネイティブロールアップ」の実現も視野に入っています。
意味するところ: 長期的にはEthereumにとって中立からポジティブな動きです。量子コンピュータによる攻撃に備えることで、ネットワークの価値を将来にわたって守り、内蔵のプライバシー機能は新たな利用ケースを開拓する可能性があります。ただし、これらは研究開発が中心であり、実装までに時間がかかるため、短期的なアップグレードの進行に影響を与える可能性もあります。
結論
Ethereumの直近の道筋は、GlamsterdamとHegotáという連続したスケーリングアップグレードによって処理能力と分散化を高めることにあります。一方で、長期的なビジョンは量子安全性とプライバシー保護を強化し、今後10年のWeb3基盤としての信頼性を確立する方向に大きく舵を切っています。コミュニティと開発者が、この短期的な実装と長期的な暗号技術の変革という二つの課題をどれだけスムーズに乗り越えられるかが、今後の鍵となるでしょう。